健康的なダイエットで、健康づくりをしよう!代々木上原パーソナルジム

食生活や生活習慣が多様化した現在では、過食や運動不足による「肥満」や「メタボリックシンドローム」がある一方で、不健康なダイエットなどによる「やせ」も社会問題となっています。楽しく健康でいきいきと過ごすためには、適切な体重の認識と体重管理が大切です。

40歳~74歳の男性で、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者は約3割、その予備群と考えられる者もあわせると、2人に1人が該当すると、「平成28年国民健康・栄養調査」により報告されています[1]。平成20年度から、メタボリックシンドロームに着目した新しい健診(特定健康診査)と、その後の生活習慣の改善を狙った保健指導(特定保健指導)が導入されています。特定健康診査を受診した約2000万人のデータを用いた分析では、特定保健指導を受けることでメタボの改善につながることが報告されていますが、国全体での実施率は、国が掲げる目標値を未だ達成できていません。

特定健康診査・特定保健指導では、主に内臓脂肪の蓄積に着目し、健診によってリスクの数に応じて保健指導対象者を抽出し、生活習慣改善を目的とした保健指導を行っています。対象者の抽出では、1)腹囲とBody mass index(BMI)で内臓脂肪蓄積のリスクを判定し、2)追加リスクの数(血圧高値・脂質異常・血糖高値・喫煙歴あり)の判定を行い、保健指導の対象者とそのレベルを選定します。例えば、40~65歳男性で、腹囲が85cm以上あり、追加リスクが2つ以上の場合は「積極的支援レベル」の対象となります。特定保健指導では、初回面接に対象者が自らの健康リスクを自覚し、生活習慣変容にむけてのやる気を高め、主体的に行動目標を設定できるよう、医師・管理栄養士・保健師等が支援を行います。その後、3ヶ月以上の継続的な支援が実施され、減量と検査値の異常の改善を目指します。初回面接時に、「自分のこととして、危機感を感じ」、取り組みの途中に「良い効果を実感できる」と、減量は成功しやすいと考えられています。しかし、生活習慣を変えることは簡単ではありません。小さな目標の成功体験を積み上げて、大きな目標の達成を目指すことが大切です。

こうした取り組みも重要ですが、若いうちから、将来メタボにならないよう生活習慣に気をつけることも重要です。「平成23年国民健康・栄養調査」によると、メタボの予防・改善のための取り組みは、体形などが気になる壮年期以降の人に多く、20歳代男性では「実践していない」と回答した人が約6割と、40歳以上に比べて多いことが報告されました[1]。若い頃からの積み重ねが、将来の健康リスクにつながるため、若い世代への働きかけが、より一層重要であることがわかりました。

さらに、女性では、特に若い世代の「やせ(低体重)」が問題視されています。「平成29年国民健康・栄養調査」では、肥満度(BMI)が18.5未満の人は、20歳代では約2割と、多いことが示されています[1]。若い女性のやせの問題は、卵巣機能の低下や低出生体重児を出産するリスクだけでなく、高齢期における運動器の障害(ロコモティブシンドローム:通称「ロコモ」)や虚弱(フレイル)のリスクを高めます。高齢期のロコモやフレイルは、要介護の原因にもなるためその予防が重要です。

このように、若い頃の生活習慣が、将来のメタボやロコモに影響するので、そうならないように食生活や運動習慣を見直しましょう。

適切なダイエットや体重コントロールは、まず自分にとってそれが本当に必要かどうか診断することから始めましょう。体重管理の目標とするBMIは、年齢によって異なりますが、適正な範囲にある場合(18~49歳:18.5~24.9、50~69歳:20.0~24.9、70歳以上:21.5~24.9)は、食事の量を大きく変える必要はありません。しかし、その範囲であっても、腹囲が基準を超えていたり、血圧や血糖が高めであったり、体力や気力が以前より減ったと感じる方は、食事の内容や生活の質を見直しましょう。

「特に、何も気になるところはない」という人でも、食事記録をつけてみると良いでしょう。「何から始めたらよいか、わからない」という人にも、記録はお勧めです。いつ、どんなときに、どのようなものを食べて、どのように感じたかがわかり、課題や改善点を可視化できます。

また、減量に取り組む人は、特定の食品を抜いたり、極端に食事量を減らすのではなく、主食・主菜・副菜のそろった食事を基本にバランスを整え、調理法や菓子・アルコールなどのとり方を見直してみましょう。3~4%の緩やかな減量でも、検査値の異常は改善するといわれています。まずは、小さな一歩を踏み出し、手ごたえを感じながら続けてください。

 

女子栄養大学 栄養学部 食生態学研究室 准教授 林 芙美

情報元:厚生労働省e-ヘルスネット